北海道新幹線開業の苦難の歴史!
青函トンネルでキノコ栽培? 苦節40数年北海道新幹線の歩み
着工後は全線で同時に建設工事が進められ、とりわけ難関と目された新青森~奥津軽いまべつ間に所在する延長6190メートルの津軽蓬田トンネルが着工されたのは、平成20(2008)年2月のこと。
このトンネルが掘削される場所は「蟹田(かにた)層」と呼ばれる軟弱な土質であることがわかっていたことから、トンネルの工法には先進の「SENS(センス)工法」を採用しました。
これは従来のシールド工法(地盤の崩壊を防ぐため鋼製円筒[シールド]の中で,セグメントを組み立てながら掘削を進めていく工法)、ナトム工法(掘削した部分を素早く吹き付けコンクリートで固め、ロックボルトを岩盤奥深くにまで打ち込むことにより、地山自体の保持力を利用してトンネルを保持する)の長所をかけ合わせ、安全性と経済性を向上させた工法です。掘削工事は24時間体制で続けられ、平成24(2012)年10に貫通式が行われました。
そして、平成26(2014)年11月には木古内駅でレール締結式が挙行され、これで新青森から新函館北斗までのレールが1本につながったのです。
新青森~新函館北斗のあいだには、奥津軽いまべつ、木古内のふたつの中間駅が新設され、在来線との接続が図られることになりました。
それぞれの新駅は、駅舎のデザインにも工夫が凝らされ、地域の新しいランドマークとしての役割を果たすことが期待されています。
新青森~新函館北斗間は148・4キロ。開業後には、東京から新函館北斗まで直通する「はやぶさ」が1日10往復運転されるほか、3往復の区間列車が設定され、最速の「はやぶさ」は、東京と新函館北斗を4時間2分で結んでいます。新幹線の延伸開業にともない、上野と札幌を結んでいた特急「カシオペア」や、青森~札幌間に運転されていた寝台車連結の夜行急行「はまなす」が廃止されるなどのダイヤ改正が実施され、東京?北海道間も、夜通し走る寝台列車ではなく、新幹線で結ばれる時代が訪れたのです。そして現在は、札幌への延伸を目指し工事が続けられています。
<『新幹線はすごい』より2/3>
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